(SS)タイガーラヴソング?

「夜空に光る~星よりも~。月の柔らかな光の化身。世界の総てを目で見ても~貴方に似
た光も見つからない~♪」

〈アイドル涼華〉の歌を歌いながらのんびりと道を歩く亀助。
シンタロウを留守番させ、久し振りに一人で買い物に出て来た。

(そーいや、この先を曲がったら病院だったにゃぁ。)

涼華の転職以降、足をはこんでいなかったが、何となく寄り道したくなった。

(かっちゃん居るかにゃ~)

と健康一杯の身体で病院へ向かう。
病院の受付から二階に上がるとカルテを見ながら歩く黒崎克哉を発見。
そっと背中に近付くと…。

尻尾をぎゅ~っと引っ張った!

「オワァッ!!何するんや!こんジャリガキッッ!」

―スッパーン―

黒崎は背中に隠し持っているハリセンで亀助をはたいた。

「うにゃあ!?ジャリガキは酷いにゃ!かっちゃんの阿呆っ!!」
「あれ?亀やん、久し振りやな~。てっきり小児科のガキかと思ったわ~。」
「…患者をはたいたら、問題になるにゃ…。」
「ハリセンは躾の道具や!せやから問題無い。」

堂々とホラを吹き、ハリセンを背中にしまう。

「で、亀やん、どっか悪くしたんか?涼ちゃんもおらんようになったし、病院来たんは風
邪か?」
「助はお利口さんだけど風邪ひかないにゃ~。かっちゃんに会いに来たにゃ。」
「俺に?何の用や?」
「今度デートして欲しいにゃ!」

亀助の爆弾発言に、ナースセンターに居るナース達は一同に身体を乗り出す。
フロアに居る女性患者も一斉に振り返り、黒崎に視線を送る。
しかし、その注目の的は、ずっこけて床に撃沈していた。

「…いきなり何言うねん!俺と亀やんの仲やで、デートなんてできるかっ!気色悪ぅなる
わ!」
「うわっ!かっちゃんひどっ!仮にも女の子からのデートの誘いを断るにゃんて!しかも
断り方も最悪にゃ!」
「素直な感想や。俺はホラは吹くけど嘘は言えへん。せやからホストにはなれへんのや。

「はぁ、冗談の通じない関西猫にゃ。デートはツッコミ所にゃ~。
助は、かっちゃんと零君とシンタロウと涼華お姉様で遊びに行きたいのにゃ。」
「下手にボケんと先に言え。」

病院の廊下に再びハリセンの音がこだました。


後日、シンタロウと亀助は待ち合わせ場所に居た。
服装は、タイガーに乗りやすいように薄い茶色のニットワンピにスパッツ。涼華は参謀試
験の勉強のため、不参加表明。
約束の時間から30分が過ぎている。

「…シンタロウ、行くにゃ。」

亀助はシンタロウに跨がると、ある家へ爆走し、玄関チャイムを30回ばかし連打した。

…ガタガタ。―
―バンッ!!ー

「誰やコラッ!アホなマネしくさって!!去ねや!ボケカスがっっ!!」
「かっちゃん、おはよ。」

家から出て来た黒崎はパジャマ姿で、くせっ毛な髪はいつも以上にあっちこっちハネてい
る。

(…寝起きだにゃ…。)

黒崎が待ち合わせに遅れる事は予測していた。

「まさかとは思ったにゃ…。」

亀助は遠くを見つめ、溜め息をつく。

「あ~。亀やん、悪い、すぐに支度するわ。」

黒崎はそのまま家に入り、ばたばたと音を立てている。

「今のかっちゃん写真に撮っておいたら、売れたかにゃ?」

本人の居ない間に言いたい放題の亀助。
支度が済んだ黒崎は零を連れて表へ出て来た。
黒崎は黒のロングTシャツにジーンズ、モスグリーンのジャケット。髪を一つに結び
、帽子をかぶっている。
(寝癖、直らなかったんだにゃ…。)生暖かい目で黒崎を見つめる亀助。

「涼ちゃんおらんの?」
「参謀試験の勉強で家に缶詰にゃ。」
「そうか~、息抜きに来たらええのに。」
「1度言ったら人の話は聞かないにゃ。まぁ今日は、零君とシンタロウとお出かけするにゃ
ん。」
「亀やん、俺の名前忘れとる。」


とりあえず、何処へ行くか決めて無かった一行は〈タイガーが走れる場所〉をチョイスし
、海へ向かった。

広い砂浜、どんよりとした厚い雲、海の波は大荒れで、寒風が容赦無くふぶいている。

「かっちゃん、海は失敗だったにゃ…。」
「うーん、2匹は喜んどるからええんちゃう?」
「寒いにゃーっ!かっちゃんの手の体温奪ってやるにゃーっ!!」

亀助は、がしっと黒崎の手を握る。

「うわぁっ!冷えとる!亀やんほんま生きてる人間なん?」
「誰がゾンビだにゃー!!」

ショートコントを続ける飼い主を無視し、タイガー2匹は海岸を楽しそうに走っている。

『零「まて~こいつぅ~。」
シンタロウ「あはは!捕まえて下さ~い。」』

「…亀やん、気色悪いアテレコするの、止めぇ。」
「いや~腐女子から見たら、そうかなって…。」

しかし、事態はさらに進み、追いかけっこを楽しんだ2匹は寄り添い、シンタロウは零の
毛づくろいを始める。

「零君…。フレンドリーなタイガーなにょ?シンタロウは、鳥見知りするにゃ…。」
「いや、零は基本的に一匹タイガーや…あんな仲良うしとるのは、初めて見るわ…。」

2匹のイチャつきぶりに、何やら危険を感じた飼い主2人は、それぞれのタイガーにダッ
シュした。

「亀やん、今日は寒いから、ここで解散や!」
「OK!シンタロウ、お家に帰るにゃ」

しかし、零とシンタロウが、飼い主を見る目はいかにも《おのれ~…》っと言わんばかり
だった。

「うわー。こいつら、親密度《親友》超えとる。」
「いつの間に《Hな雰囲気》になってたにゃーっ!」

気がつけば、2人と2匹の世界はガンパレとリンクしている。
その違和感に気付く事なく、零とシンタロウは飼い主によって、引き離された…。


家に戻ったシンタロウはぼんやりと月を眺めている。

「シンタロウ…零君を想っているのかにゃ?」

だいたいの話を聞いた涼華は言った。

「腐女子の妄想じゃないのかにゃ?」
「いや、あの時の2匹の目は本気だったにゃ…。」

だからこそ、黒崎も危険を感じたに違いない。

「助は、シンタロウと零君が…仲良くなっても許せるにゃ…。でもかっちゃんは、はぁ…
。」

何やら、ロミオとジュリエットみたいなネタになったにゃぁ…。
2匹の想いは、それぞれが見つめる、お月様のみが知る。

―終わり―

(亀助)

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この記事へのコメント

青にして紺碧
2007年05月06日 04:23
SS投稿、ありがとうございます!
いやー、まさか、タイガーがらみで、


……こういう切り口があるとは、思いもしませんでした。
亀助
2007年05月06日 06:58
かっちゃんクールに、平常心。平常心。
るぅえん
2007年05月08日 00:12
発想がいいですねぇ。
亀助嬢に紺碧さん3人。
黒崎克哉
2007年05月09日 08:45
俺の零がー(´Д`;)
黒崎克哉
2007年05月09日 08:45
俺の零がー(´Д`;)