イベント59準備SS【軍医会議】

猫である彼等の普段の会議は、ぶっちゃけ5分で終わる。

しかし、今回は違った。
猫である前に、軍医たる彼等は、真剣に会議を行うため、おこたのない会議室を選んだ。


別室では、整備士と吏族が『新兵器開発』について会議しており、医師達は個別で軍医会議を済ませたら、新兵器のオペレーターの打ち合わせも待っていた。



「嘉納殿下とメビウスさんの蘇生に関するデータは、今から配る資料にあります」

森沢は、事前にまとめておいた資料を各自に配っていく。

「はぅ。コパイオペレーション関連はこちらにまとめました!」

うにょが、コパイでI=Dに搭乗した医師6人でまとめたレポートを配布。

つい先日起きた戦闘での軍医運用や、コパイとしてI=D機に乗った者からの、パイロット達の心理状況。
戦場で得た、ありとあらゆるデータを持ち寄り、よけ藩が誇る名医達は協議を繰り返していた。



「あの…陛下のストレス値だけ、異常に高いんですが…大丈夫なんでしょうか」

ぼそり、と川上がレポートに載っている各パイロットのストレス状態の数値を見てもらす。

「ゆかりたんの顔してたからなぁ、敵のアラダ」

近衛が補足したが、川上が気になったのはその時の数値ではなかった。

「い、いえ。それは判っているんです。私が言いたいのは搭乗後、あまり時間経っていない時のです…」
「大丈夫。川上先生、それはI=D搭乗によるストレスじゃないから…」

偶然あの時、劔城機のモニターから海法機の機内の様子を見て知っていた涼華が、近衛に変わって補足した。

「えっと、搭乗時パイロットのストレス数値に関しましては、劔城さんとりゅうへんげさんのを参考にしてください」

紙をめくる音。
その中を涼華の声が渡る。

「また、殿下とメビウスさんの、途中で数値が0なのは心肺停止状態だったからです」
「よっきーさんとヘタレさんの数値データがないのは?」

結城がずり落ちた眼鏡を直しながら聞く。

「数値データを残すの忘れてたんです…」

肩を落としながら答えたのは波多江だった。

一様にみな、資料に目を通し、寡黙になる中、ナルシルが会議を進めた。

「次の戦場が我らを待っています」

その一言に、緩みかけた緊張の糸がまたピンッと張る。

「しかも、医師陣がいない国への援護出撃です。むろん、私達が医療指揮を取ることになると思います」
「はい!」
「我が国からのI=D出撃はないとは言え、よけ藩の出撃歩兵や我々軍医陣、そしてわんわん帝国の兵士の方々の精神的消耗、更には負傷兵士の数は予想しがたいとも思います」
「そこで一つ」
「はい、あおひと先生」
「会議前にちはさんから預かった資料なんですが。援護先のFVBの部隊編成の暫定情報です」

あおひとは、資料が手元にあるものしか無いので、みんなが把握できるように読み上げていく。

「サイボーグ部隊がありますね」
「うにょさん!サイボーグ治療の道具は!?」
「大丈夫!まかせて、ばっちり!FVBはサイボーグさん達もいるから、援護進軍が決まった時に、準備しておきました!」

話を振られ、小さな身体でガッツポーズをするうにょは、少女ながらも頼もしい。

サイボーグ治療は、うにょのもっとも得意とするところだった。
むろん、特殊な治療器具・治療知識が必要なサイボーグ治療。
うにょの指示に、他の医師が動き、事前準備はぬかりない。

最後に、涼華はまとめた。そろそろ、会議の時間も惜しくなる。

「出撃進軍はもう、間もなく行われます。あたし達を待ってくださってる兵士達がいます」
「涼華さん、頑張って!」
「は、はうっ」

ちょっと目がぐるぐるな涼華。
倒れないように踏ん張って会議を締める。

「忘れ物はないよね?万全の資材準備と、この腕にかけて、この戦いも乗り切りましょう!」
「はい!」
「では、軍医会議終了!」



こうして、避け藩国医師陣は名医・医師としての誇りを胸に立ち上がった。

(涼華)

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント