【戦後の避け藩国】腹ペコな一日(よっきー編)

--青いクルミもこっち寄越せ。
--すっぱいカリンもこっち寄越せ。

切ない腹ペコの歌を歌いながら、よっきーは朝から避け森を探索していた。
食べ物を探していたのである。

食料増産計画の大成功も束の間、莫大な戦費のため、
よけ藩国は再びハラペコ国家に戻っていた。
政庁からは再び食べ物節約令が出された。
吏族はおろか、技族や文族らに対しても、
給料(グルメ手当て・現物支給)をカットせざるを得なかった。

「国庫の食料は節約。国営食堂でのおかわり禁止にゃ。」
「足りない分は、自分で食べ物を見つけなさい。」

多くの国民は、増産計画の際に食料自給の手段を得たので困らなかったが、
一方では猛烈に腹を空かせる猫もいた。
よっきーもその一人である。
彼の胃袋は、もっぱら国営食堂に支えられていたからだ。

よっきーは、仕方なく、避け森に食べ物を探しに出かけた。
うまくいけば大量の木苺や、避けキノコが手に入るはずだった。

そしてよっきーは見つけた。

ワンアップしそうな色をしたキノコ(避けキノコ)とよく似た、大きくなれそうな色をしたキノコを。



よっきーは大喜びでそれを食べた。
何しろ見た目はおいしそうだし、ボリュームもたっぷりだ。
厚切りにしてソテーにしてみると、これが肉厚で旨みも多く、
バターの風味とよく合う絶品だった。
よっきーはしばしの幸福に浸った。

だが。
よっきーが完食したそれは、「避けろキノコ」だった。

避けろキノコは、避けろキャベツと違って擬態生物ではない。
純粋な毒キノコである。

まもなく、よっきーの目はぐるぐるになった。

~~~~

その日は午後から、わかばオリエンテーションがある日だった。
よっきーが講師役を務めることになっている。

幸い、避けろキノコは猛毒ではなく、体には何の変調も無かったが、
目のぐるぐるはいまだに止まらなかった。
それにちょっと幻覚が見える。
「うわまた自動失敗!」とどこからともなく聞こえてきた気がして、
よっきーは3メートルぐらい飛びのいた。が、それも幻聴だった。

いかん、これはいかんぞ。と思ったが、腹いっぱい食べてしまったものはもう手遅れである。
講師を休めばまたグルメ手当てがカットだ。

やるしかない。
よっきーはビン底めがねをかけて目を隠し、とにもかくにもオリエンテーションに向かった。

よっきー編 2に続く)

(ナルシル)

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