番外編 のうきんさまがみてる

~~以下は、実在の学校を舞台にしたフィクションであり、実在の国民とは一切関係がなくて、主に妄想と面白魂でできています。~~


「ごきげんよう」
「ごきげんよう」

(中略)

ここは私立のうきん女学園。
神道系の学校で、のうきんさまというありがたい神様をお祀りしている。
ここで生徒たちは清く正しく美しい乙女に成長していくのだ。

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学園の庭、のうきんさまの像の前を一人の乙女が長い髪を翻しながら歩いていく。
周りの少女達が羨望の眼差しで見つめる。少女の一人タマは、ほぅ、っとため息をついた。

「紺碧おねえさま……、きゃ!?」
「なーに朝から顔赤くしてるのかしら、この子は」

タマがわき腹を触られてびっくりして振り向くと、小花(シャオホワ)ちゃんがいた。

「もう、シャオホワちゃん、酷いよう」
「ぼーっとしてるから悪いのよ」

小花ちゃんはふふん、と鼻を鳴らすと、先にたって歩き始めた。あわてて追いかけるタマ。
小花ちゃんにおいついて、並びながら話かける。

「だって、紺碧おねえさまって素敵じゃない」
「そうかしら?」
「だって、お美しいし、生徒会長も務めてらして、おまけに成績優秀だし。
数学が苦手みたいだけれど、そこがまたいいのよう」

タマは話しながらちょっと興奮してしまった。やれやれといった顔で小花ちゃんが見ている。

「タマにも困ったもんだわね、ほら、もう予鈴がなっちゃうよ」

ちょっと歩くスピードをあげる小花ちゃん。タマはまってー、と小花ちゃんを追いかけた。

/*/

放課後。

「では、今回の委員会はこれで終わります。解散」

委員長の声に皆が思い思いに席を立って会議室を出て行く。
タマが筆記用具を纏めて教室を出ようとすると、先生に呼び止められ、
生徒会室まで資料を持っていくように頼まれた。

「え、でも私……」

おたおたしている間に資料を手渡されて、タマは途方にくれた。
この時間は生徒会室に紺碧おねえさまがいるはずだし、どうしよう……。
うまくお話できるかしら。
どう話そうかいろいろと悩んでいる間に、生徒会室に着いてしまった。

「し、失礼します!」

ノックして声をかけても返事がないので、おそるおそるドアを開けて中を覗いてみると、
机にむかって紺碧おねえさまがひとり頭をひねっていた。

「1、2、3、……よん?」

難しそうな顔の紺碧おねえさま、眉間に皺がよっている。

「あのう……」

タマがおそるおそる声をかけると紺碧おねえさまはやっと気がついたようで、
なあに、と涼やかな笑顔をタマに向けた。

「……えと、頼まれてこれをもってきたんですけど」
「あら、そうなの。ありがとう。」

にこやかに笑って書類を受け取る紺碧おねえさま。でも少し疲れているみたい。
タマは勇気を振り絞って、口を開いた。

「あの……! 何かお手伝いさせていただけませんか!」

面食らったような紺碧おねえさま。
花のつぼみがほころぶように表情を和らげて、紺碧おねえさまは優しく言った。

「私、数字が苦手なのよ……。生徒会の予算を見ていたんだけれど、
少し困ってしまって……」
「あの、あのっ! 私でよければお手伝いさせてください!」
「大丈夫、もうほとんど終わったのよ、そろそろ帰ろうかと思っていたの」

そうですか、と意気消沈するタマに、紺碧おねえさまは笑いかけて、
ありがとう、と言ってくれた。

「さあ、もう暗くなるわ。帰りましょう」

書類を仕舞って席から立ち上がると、コートを羽織りながら紺碧おねえさまは
タマを生徒会室の外までいざなった。
あなた、お名前は? とやさしく訊ねる紺碧おねえさまに、タマは緊張しながら
自分の名前を告げた。

「そう、タマちゃんというの。よろしかったら、ご一緒しましょう」
「……は?」

言葉の意味が一瞬のみこめず、タマは我ながらなんともまぬけな声を出してしまった。
紺碧おねえさまは少し微笑むと、御用があるならよろしいんですのよ、と言った。
ぶんぶん、と首が取れそうなほど首を振るタマ。

「い、いえ、用なんて! ご一緒いたします!」

二人は並んで昇降口へと歩いていった。

昇降口で一旦別れ、タマが靴を履き替えて外にでると、紺碧おねえさまが待っていた。
ああ、のうきんさまありがとうございます。今日は私の人生最良の日です! 
顔を真っ赤にしながら紺碧おねえさまの隣に並んで歩き始める。

「タマちゃんはどちらにお宅があるの?」
「うちはいわし町にあるんです、おねえさまは……」

あ、いけない。と口を閉じる。私ったらおねえさまなんて呼んじゃって、
なんてはしたないんだろう。
急に自分が嫌になった。しおしおとなるタマ。幸せな気分が台無しだ。
そんなタマを見て、紺碧おねえさまは微笑んで口を開いた。

「おねえさま、ね。悪くない響きだわ。」

慌てて顔を上げるタマ。悪くない? 今そうおっしゃったかしら。

「タマちゃん、私のことをおねえさまと呼びたいのならそう呼んでくださって結構よ」

タマに笑いかける紺碧おねえさま。
ああ、ありがとうございますのうきんさま。今日はやっぱり最高の日です!

「あ、ありがとうございます!!」

楽しい時間はあっという間に過ぎるもので、そのあともいろいろお話をしていたら、
すぐ正門についてしまった。
おねえさまの家は反対方向だ。私の家もおねえさまの家のほうならいいのに、と
タマはらちもないことを考えた。

「じゃあ、気をつけてお帰りなさいね」
「はい、おねえさまも」

タマに背を向けて歩いていくおねえさま。もう話すこともないのかな。
なんていったって、相手は生徒会長で生徒の憧れだし。
ちょっと凹んで、でもそんなものだと納得しタマも帰ろうとすると、
突然おねえさまがきびすを返してタマのほうを向いた。

「タマさん、また明日」

明日、なんていい響きだろう。明日もまたおねえさまとお話できるかもしれない。
タマは元気良く返事をした。

「はい、おねえさま。また明日!」

(結城洋一)


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どんどんおいらがネタ化しているのはなぜorz(青にして紺碧)

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