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zoom RSS 半径50メートル春結界につき注意

<<   作成日時 : 2007/12/20 00:38   >>

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 避け藩は春である。




まだ新春にも早い12月、もちろん物理的な意味で春な訳ではない。
春なのは、もっぱら精神的にである、端的に言うなら頭の中身である。

 「あおひとさん、クリスマスに有給とらないんですか?」
 
 「ええ、年末の仕事、まだ結構残ってますから」
 
そう笑顔で答えたのは偽りの魔法使いこと、蒼のあおひと。
恋愛の戦場で愛の戦利品をゲッチューして来た新婚さん、悩める避け藩の恋愛者の憧れ。
そのでれでれっぷりはある意味極まっており、なんといっても多数のRBに結婚式を襲撃されようが何をされようが、甘えるのを止めることは出来なかったというレベルである。例えでもなんでもなく。

このシーン、普通ならば「新婚なのに申し訳ないなあ」などと思う所だが、そもそも彼女の場合、イベントの有無に関係なくデレデレ進行である。

もうそこまで勝ち組なら、休みなんて関係ないわよね!などと話かけた吏族の女性は内心ハンカチを食いちぎり咀嚼しつつ思った。
私は休むわ!休んで町に繰り出すわ!いい男を狩るのよ!私も勝利者に!勝利者に!である。
 
既に醜かった。


しかし、それは彼女に限った事ではない。裏切りの魔法使いというのは本質的に難儀な代物である。
周りの嫉妬の目線、内心の罪悪感など、結婚した事によるマイナスの要素には事欠かない。それは世界の法則であり、基本的には個人の資質を越えて適応されるルールである。故に友人達を除き、あおひとに当たる風当たりは相当強いものの筈なのだが・・・・

あおひとはまったく気にしていなかった、っていうかオール回避である。避け藩の吏族舐めんなな勢い。

町は赤い光線で染まっていた。発生源は魔法使い達の目である。
不思議を常ならしめる魔法使いとはいえ、実際に目からビームを出しているわけではないのだが、はだしのゲンにおいて白い目が白目で表現されるようなものである。嫉妬は赤く、熱線よろしく熱かった。
その中をあおひとは鼻歌交じりに歩いて行く。手にはバスケットケース、非常に古典的な買い物スタイル。
ない胸を張り、あくまでもにこやかな表情は崩すことなく町に溢れる嫉妬ビームをほんの少しの動きで回避し、足を引っ掛けようと伸びてくる足を靴の踵で撃退し、実に自然な動きで踏みにじった。
上機嫌でお買い物をする新婚さん、ただそれを表現するだけで、それなんてハードなシューティングと言った風情である。これでは私生活もなかなか気が抜けまい。
 
それでも彼女は幸せである。
これぞ幸せであると彼女は思っていた。

蒼の忠孝は仕事帰りであった。蒼のあおひとは買い物帰りであった。そして今公園で抱き合っている。

家に帰るまで我慢しろよと突っ込みたいのは山々であり、一般大衆の本音であった。子供は好奇心で目を輝かせ、お父さんお母さんは目をそらして咳払いをし「ジロジロ見ちゃいけません」と子供を小声で諭した。

しかし、彼女を知る人は言うだろう。
「そりゃ無理だろう」と、ある人は愉快そうな顔で、ある人は苦味を帯びた顔で。
しかし、誰も彼女を非難する人は居ないだろう。彼女はそういう人柄の持ち主なのである。
愛されている、と言っても良いだろう。その代わり彼女を思う存分からかうのだ。
元々真っ直ぐで有る上、旦那が絡むと直ぐに真っ赤になる彼女は実にからかいがいがあった。
玉に行き過ぎて、怒りの鉄拳を喰らい宙に舞う者も居たが、それも良い笑い話の種であった。

ちらちら輝く粉雪も、二人を優しく包み込んでいた。15分程抱擁した後、二人は手をつないで家路に付く。
もう月も高く、息も白く、夕餉の香りの漂う時間、風は枯れ木を弄ぶ。しかし、二人は暖かく、笑顔のまま歩いて行く。

故に避け藩国は春であった。



(文:夜戸守 明)

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