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zoom RSS イベント09 物語で見る各国の戦争準備状況(嘉納編)

<<   作成日時 : 2007/01/09 13:16   >>

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 『未確認要塞艦迫る』

 この知らせに避け藩国は湧いていた。
  わんわんの新兵器だ。外宇宙からの侵略生命体に違いない。
  いや、意志をもった珪素生物だなどなど、たくさんの予測や願望であふれていたが、
  話題は必ずある一つの方向性で纏まっていた。

『我らが藩王はどう出るのか?』

 時に2007年1月8日 20時55分。
 共和国尚書省の発表に呼応し、藩王は正式に出兵を宣言。
 要塞接近の報から僅か11分の決断である。これは全藩国の中でも最速であった。

 藩王の英断に、避け国民は歓声を上げた。

 翌日、早朝。
 避け政庁の廊下に敷かれた赤い絨毯に泥をつけながら、
 避け藩国摂政嘉納は執務室に向けて歩いていた。

  口には朝食の残骸である鰯の骨を銜え、耳は半歩後ろを歩く事務官に貸し出し、
 右手の人差し指で、次々と出てくるパネルに承認印を押していく。

 パネルの中身は、戦時特例法の適用によって起こる事務的な問題に対する案件であり、
 中身はほとんど優秀な吏族である避け官僚団の手で検討済み。
 嘉納の仕事はただひたすら、機械的に承認印を押すことだけである、
 しかし、さすがに千を超える案件に向かって連打してくると指が攣ってくるようだ。さっきから感覚がない。
 嘉納はこっそり、承認印をひたすら押し続ける自分の指をマッサージする。

「愛国団体弾幕主義が、面会を求めています」

 秘書官のセリフに嘉納は嫌な気配を覚えた。

「用件は?」
「『国家及び共和国の危機に対し、我らも力を貸したい。』義勇兵志願のようです」
「適当に褒めて帰ってもらって」

 嘉納の口からため息が漏れる。
 今朝だけで十数件似たような申し出があった、そのほとんどを藩王には知らせずに蹴っている。

「どうしてこう、みんな戦争したいんだろうなあ?国軍に税金納めてるのはこのときの為じゃないのか」
「同胞をただ死地に追いやるのを良しとしないのは、避け国民の誇るべき資質だと思いますが………?」
「まあ、そうだけど、なんだろうなあー」

 この、納得いかない感じは。

 共和国に生まれ、共和国に育った嘉納でも、時々この種の矛盾した感覚に襲われ、そのたびに悩んでいる。避け国民は戦争嫌いであるが、どうも同士や同胞という言葉に弱い気がする。それはほんとうに美徳なのかと。

 突如襲った衝撃に、体が揺れる。

 意識を頭の中に集中していたため、どうやら人にぶつかったようだ。
 あわてて頭を下げる嘉納。立場の割にいつまでたっても腰の低い摂政を見て、事務官は忍び笑いを漏らす。

 相手は若い事務兵だったようだ。
 書類カートリッジを搭載したベルトを締め、手には理力使いの証である杖を持っている。

 事務兵は嘉納の顔を見ると驚いて敬礼し、逃げるように走っていった。

 嘉納はこういうとき、いつも困る。
 フレンドリーに接すればいいのか、それとも重々しくすればいいのか、未だにわからない。

 ぼんやりと立ちつくす摂政を、好意的に眺めていた事務官の表情がこわばった。
 目の前に浮き上がったパネルに、最悪の事態を知らせる文字が躍っていた。
 それはまだ、予想されうることだった。

 事務官は、口を嘉納の耳元に寄せると、そっとつぶやいた。

「摂政殿下、どうやら、………対象に逃げられたようです」

 顔がこわばる。予想しうる最悪の事態。そのために打った手はやはり無駄だったか。
 それでも、反射的に悲鳴のような質問が飛ぶ。

「どうやって!?朝一に部屋で寝てるところを拘束して、それから部屋に生コン注いで蟻の子一匹たりとも這い出せぬよう封鎖したんだぞ!?」
「は、それがどうもあらかじめ就寝前に、肉襦袢を着込んでいたようです。それを脱ぐことで生じる空白を利用して打撃、貫通して脱出したようで」

 どういうスペックをしているんだ、あの人は。
 怒りで鰯の骨を噛み砕きながら、走り出す。

  くそ、このままでは純子さんに会いに行く時間がなくなる。
  もしそうなったら、絞め殺してやろう。

 嘉納は根の暗い決心を固めると、執務室への道を走った。
 急いで会見を行って、あの人の行動を封じなければ、マスコミの前で自ら出撃するなどと言い出しかねない。
 それが避け藩王海法のあり方であると、重々承知しているのだった。

(嘉納)

【コンクリ詰め(その後)】

(藩王陛下と摂政殿下は、後でメイドさん達にしこたま怒られるに違いないと思います。)

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○おまけのコーナー:避け藩国出版物の紹介

 【超攻撃型少女・法子ちゃん ドキドキ大戦】
 藩王陛下の書類の隅に書かれたぱらぱらマンガを収集、再編した避け藩国のミリオンセラー。
 右手に38式、左手に99式歩兵銃を装備した法子ちゃんが、お米帝國や、忠犬帝國相手に大暴れする娯楽活劇として大ヒットした。
 しかし、中盤から技術の変遷によって起こる戦術の変化などに重点が置かれ、物語の軸が変化。
 兵器開発の虚しさや、そこに生きる人々を描く群像劇に路線変更。
 特に最終回、プラハ防衛の為に独によって超弩級駆逐戦車に改修された法子ちゃんが連合空軍による対地攻撃や、空爆により、為す術もなく大破。
 自分が敵の攻撃の激化の理由であると悟った法子ちゃんが装甲を廃棄しながら自壊、消滅していくラストは避け藩国の少年少女に大きなトラウマを残した。

 なお、現在は避け吏族センターパンフレットに、
【法子ちゃん外伝 超航空少女・海子ちゃん】が連載中である。
 こちらは憧れの長門先輩を追って海軍に入るはずがうっかりして予科練に書類を提出した海子ちゃんと、彼女の幼馴染みの武蔵くんや留学生のBたちを絡めながら進むラブコメである。

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